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4.セットデザインの統一感を守る組物の意匠制度

意匠法では、原則として一つの物品に対して一つの意匠出願でないと意匠登録されません。 これを一意匠一出願の原則と言います(意匠法7条)。
   つまり、スプーンのデザインを考えていると、そのスプーンに合う箸,包丁のデザインも同時に思いついたからといって、一つの意匠出願に、スプーン,箸,包丁の三つのデザインの図面を並べても意匠登録されません。 この場合、スプーン,箸,包丁のそれぞれの物品について、合計三つ別個の意匠出願をする必要があります。

組物の意匠の例(ナイフ、フォーク、スプーンのセット)

しかし、スプーンは単体でも売られている一方で、フォーク,ナイフが加わったセット物でも販売されているという実態があります。 セット販売では、ナイフ、フォーク、スプーンのセットのそれぞれのデザインがよいというのと同じく、またそれ以上に、セットとしての統一感に優れたデザイン性を感じる、つまり購入意欲をかきたてられるのだと思います。

このようなケースでは、組物の意匠制度を利用すれば、セット全体の統一感あるデザインについても、組物の意匠(くみもののいしょう)として登録ができることになっています。
   左上の図(注4)の例では、「スプーン」(注5)単体物品の意匠出願ができるだけでなく、「ナイフ、フォーク、スプーンのセット」(注6)というセットとしても組物の意匠の意匠出願が可能です。

組物の意匠制度が利用できるセットは、このように実際にセット販売されているという実態があるものに限られています。 具体的には、意匠法施行規則の別表第二(リンク先の一番下の表)のセットに限られているので、ご注意ください。
   なお、組物の意匠制度を利用しない通常の意匠のことを、組物の意匠との対比から物品の意匠と言うことがあります。

注4:図の出典:特許庁「意匠審査基準」より

注5:スプーンの意匠法的な呼び方(物品名)は「飲食用スプーン」といいます。

注6:ナイフ、フォーク、スプーンのセットの意匠法的な呼び方(物品名)は「一組の飲食用ナイフ、フォーク及びスプーンセット」といいます。

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〔組物の意匠制度の関連条文〕

意匠法8条
同時に使用される二以上の物品であつて経済産業省令で定めるもの(以下「組物」という。)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。
意匠法施行規則8条
意匠法第八条 の経済産業省令で定める組物は、別表第二のとおりとする。

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